旧山形県庁「文翔館」東口

「山形らしさ」とは何だろう。山形に生きた世代ごとにそれは違うはずである。最近、激しく変わる山形の街並にその〝らしさ〟を失う人も、また新たに〝らしさ〟を感じる人もいるだろう。しかし山形の歴史を断片的な一時期の〝らしさ〟に決めてはならない。

夏、ここ旧山形県庁『文翔館』の石壁には蝉の声が響きわたっている。大正五年六月から始まったその響きは時代ごとの街の喧噪とのハーモニーである。変わらぬものと変わるものの見事な調和の響きなのである。

平成二十五年 夏