これは薬師町の通りに建つ「勢至堂」である。いつもオフィスの眼下に見ているこのお堂は文政二年山形城下の大火に焼失したが、ただちに再建された後、明治三十四年に現在地に移転、しかし同四十四年に再び焼失したが門だけは残った。その後大正三年に現在の木堂が再建された。いくつもの災害にあいながらも信者の信仰により守られてきたのだ。
三月十一日の東日本大震災から五ヶ月になろうとしている。津波は昔から幾度となく同じ被災地を襲い続けてきた。しかしその度ごとに人々ははねかえすように復興し乗り越えてきた。日本は神仏信仰の国。この「勢至堂」も人に守られそして守ってきた。守られている感謝と崇める心がある限り私たちはどんな困難が押し寄せようと乗り越える力があるのだ。松とイチョウの大木に添われた「勢至堂」に手を合わせると生きる勇気が流れ込んでくるようだ。
平成二十三年 夏