山形市内を流れる馬見ケ崎川に架かる馬見ケ崎橋のたもとに小さなたたずまいの老舗のだんごやがある。何年前からあるのかはわからない。この橋を渡る人達を長い年月見続けていたに違いない。しかしその人達がこの店に気をとめることは少ない。それでも静かに目立たずひっそりと、しかししっかりと見守っている。
いつもは何気なしに通り過ぎてしまっていたこの店の前に立ち止まった時、この店のようにどこかで静かに自分を見守ってくれている人がいるのかも知れないと思った。いやきっといるはずなのだ。気がつかないでいるのだ。
そうであればいつの日か決して目立つことなく静かにやさしく誰かを見守れる人になりたいものである。
平成十四年 夏