ここは山形の国分寺薬師堂前の薬師通りである。この通りも間もなく都市計画による道路拡張が行われその風景は消え去る。山形から次々と古い町並みが消えて行く。新しさも時が過ぎれば古さになると分かっていてもさびしさを感じる。
この通りにある一軒のそば屋の暖簾が目の前を車が通り過ぎる度に揺れている。左右をシャッターを下ろしたままの建物にはさまれているこの店を客が出入りするたびに「ありがどさまー」という声が通りに聞こえてくる。きっと町の人のためにあるこの店を見ていたらさびしさの中
にも何かホッとするような嬉しさを感じてきた。
平成十六年 夏