この細い路地を一歩抜ければ都市計画で拡幅され、どこの町にでもあるようなデザインに環境整備された大通りに出る。その大通りからこの路地に踏み込んだとたんに、そこに住む人たちにとっては我が家の玄関に違いない。とすると、路地に向かい合って住む人たちはみんな家族とも言える。日本国中から次々と路地が消えていく。新しい町と街路がこの路地にとってかわっていく。しかしどんな環境や時代になろうとも、人の温かさがあるかぎり新しい家族ができていくはずだと思うと、心はホッとする。そんなことを思いながら路地を歩いていると、遠慮のない家族の会話が路地に響いてきた。
平成二十三年正月